水木しげるの「コミック昭和史」が面白い!

水木しげるの「コミック昭和史」を読んだ。全8巻の大作で、昭和時代の歴史をご自身の体験とともに描いた漫画である。太平洋戦争に出兵もしているので、戦地の様子を知ることができる作品としても有名である。水木さんといえば、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」などでその個性的な作風を発揮しているが、戦争体験もまた独特である。今回はそんな水木しげるさんの「コミック昭和史」についておすすめしてみた。

「コミック昭和史」の面白さ

この「コミック昭和史」は、昭和の時代の情勢と、その時代を生きた水木さんの自伝で構成された漫画である。昭和の人々がいかにして太平洋戦争を向かえ、戦後どの様に復興していったかが描かれていて面白い。文庫版で全8巻という長さだが、あっという間に読めてしまう。歴史は漫画で読むと非常にわかりやすいので、昭和史に興味のある方や、受験生はぜひ読んでみると良いと思う。

中でもこの漫画をおすすめしたいのは、水木さんがご自身の戦争体験の場面が非常にリアルだからだ。水木さんは太平洋戦争で、実際に南方戦線に出兵しており、戦地での様子が詳細に描かれている。この漫画を読む限り、正直よく生きて帰ってこれたなというくらい何度も死にかけており、日本兵として最前線で戦う恐ろしさが描かれている。

こんな体験をして生きて帰ってこれた人は本当に少ないんじゃないかと思う。話として聞けるだけでも価値があるのに、それを漫画で読めるなんてすごいじゃないかという訳である。

水木さん独特のキャラクターが面白い

水木さんの本のすごいところは戦争の話でありながら、面白さがあるということだ。

一般的に戦争体験の本となると、どうしても真面目で暗いイメージがつきまとう。おまけに水木さんのあの絵のタッチである。ゲゲゲの鬼太郎などの雰囲気を考えると、読む前に敬遠してしまう人もいるかもしれない。実際私もそうだった。が、これが読んでみると全く想像と違う。食わず嫌いはもったいない。

エピソードとしては明るくない話も多いのだが、水木さんの描く主人公(というか水木さん本人だが)が非常にのんきなキャラのため、どこかコミカルさがあり、気軽に読めてしまうのだ。昭和の厳格な日本男児万歳!な時代なのに、どういうわけか、水木さんだけゆとりっ子丸出しのキャラクターなのである。

読んでいても、うっかりしたり、のんびりした人柄のエピソードが多い。戦局が厳しい中、見張りを忘れてオウムの観察に夢中になったり(ちなみにそのせいで、部隊が全滅する。)外出禁止なのにも関わらず現地人の村に勝手に入り浸り、ヒモ状態になってしまったりと、水木さんの独特すぎるエピソードが(笑っちゃダメなんだが)、笑いを誘う。

もちろん命からがら逃げたり、瀕死の重症を負ってしまうエピソードもあるのだが、その際も水木さんの飄々としたキャラクターが重さを中和してくれる。シリアスな話が苦手という人にも比較的読みやすい作品である。

正直読む前は、水木さんの絵のタッチが得意ではなかったのだが、水木さんの脱力キャラが絵によくマッチしていて、話の面白さが倍増してしまう。戦争体験を聞きたい、学びたいという人は一読してほしい。全8巻あるが、4巻~6巻が南方戦線での話である。

まとめ

今回は水木しげるさんの漫画「昭和史」についてまとめてみた。戦後から70年以上経ち、戦争を経験した人の実体験を聞くことが難しくなってきている。漫画としての面白さはもちろん、歴史の見聞を深める上でもおすすめだ。

水木しげる 昭和史
最新情報をチェックしよう!